今月の1点 Monthly Pickup 3月
 
 

        
                     「雅舞」 


森 治郎(もり・じろう 1929〜)

1998(平成10)年 水彩、アクリル・紙 145.0×194.0p 


森 治検垈輊顱ユ1998年
 

 緑青、群青、淡いピンク…など、パステル調の明るい色面構成のなかに、箔が施されたさまざまな図形が輪になり、踊るように配置されています。箔は金、銀、洋箔などを使用し、箔そのものの色味をいかし、彩色表現されているせいでしょうか、金属特有の硬さや冷たさを感じさせません。
 幼い頃から絵を描くことが好きだった森は、彼の育った身近でなじみのある風景など具象画を中心に描いてきました。そして1960年代以降、新たに抽象画にも挑戦し、現在もその制作は継続されています。
心象絵画といえるこの作品は、日本古来の文様、桃山時代の障屏画をイメージさせます。箔のキラリと光る先に、まさにタイトルのとおり雅で煌びやかな王朝世界へと見る者を誘います。
 この作品は、2006年に当館で開催した「具象と抽象の間−森治郎水彩画展−」に出品され、それを期に高等学校の古典の教科書の表紙に採用されました。若い世代にも親しまれていることでしょう。

 現在開催中の常設展「2013・春季収蔵作品展」(2013年4月14日まで)に展示されています。

(美術館 S.T. )

<略歴 >
現在の茅ヶ崎市南湖に生まれる。茅ヶ崎小学校では浮田克躬(洋画家・故人)、鈴木至夫(日本画家・日本美術院特待)と同級。三橋兄弟治に師事。1954年、創元会展に初入選。翌年より水彩連盟展に出品し、1961年に会員推挙。同展出品作により小堀進賞(1980年)、文部大臣奨励賞(1988年)を受賞。1984年、茅ヶ崎美術家協会創立第1回展に出品し、1993年、会員賞を受賞。現在、水彩連盟顧問、茅ヶ崎美術家協会相談役。