今月の1点 Monthly Pickup 11月
 
 

「 雪の良寛堂 」
鈴木 至夫 (すずき のりお) ( 1929-  )作

1990年, 紙本着色, 105.0cm× 105.0cm



  画面のほぼ中央にあるのが良寛堂、その上部、画面の約半分を占める海をへだてて佐渡島が帯のように描かれています。
  良寛堂のある出雲崎(新潟県三島(さんとう)郡)は、松尾芭蕉『奥の細道』の名句「荒海や佐渡によこたふ天の川」ゆかりの土地です。北国(ほっこく)街道の宿場町であった出雲崎は水陸物流の要衝で、江戸時代は天領とされていました。
 良寛(りょうかん 1758〜1831)はこの出雲崎で名主と神職を代々つとめていた家の跡取り息子として生まれましたが、名主としての才覚のないことを自覚して出家剃髪(ていはつ)、物欲を捨て清貧の生き方を貫きとおしました。その良寛をしのび、遺徳を顕彰するために生家跡に建てられた良寛堂は、良寛の研究者でもあった日本画家・安田靫彦(ゆきひこ)の設計によって1922年に完成したものです。方形(ほうぎょう)屋根のお堂と背中合わせには良寛の座像があり、母のふるさと佐渡をみつめています。

垂乳根(たらちね)の母が形見と朝夕に佐渡の
島辺を打ち見つるかも 良寛

( Y・N )

< 鈴木 至夫 ( すずき のりお )略歴 >
  現在の茅ヶ崎市幸町に生まれる。茅ヶ崎小学校では浮田克躬(洋画家・故人)、森治郎(茅ヶ崎美術家協会会長・水彩連盟理事)と同級。茅ヶ崎美術家協会の前身・茅ヶ崎美術クラブの創立メンバー。東京芸術大学日本画科を卒業後、前田青邨(せいそん)に師事。1954年から日本美術院展覧会(院展)を中心に発表を続けている。現在、日本美術院特待。