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「勧進帳」より十二世市川團十郎の武蔵坊弁慶
弦屋光溪(つるやこうけい) (1946-)作

1993年,木版(多色)・紙



 「勧進帳」は、実の兄源頼朝と不仲となった源義経が、京から落ちのびるために強力(荷物運び)に姿を変え、山伏に扮した武蔵坊弁慶を従えて関所を通過する場面を描いた、歌舞伎の演目です。目を血走らせ、こめかみに青筋を立てた勇ましい形相で、何者かをにらみつける弁慶の、その真に迫った表情からは、実際の舞台を目の前で見ている時のような緊張感が伝わってきます。役者が見せる一瞬の表情を切り取ったリアルな表現は、弦屋光溪が描く「役者絵」の魅力です。