今月の1点 Monthly Pickup 5月
 
 

「樹炎菩薩」
田澤 茂 (1925-)作

1994年,油彩,161.0×131.0cm



  白象に座った菩薩と画面いっぱいに描かれた奇妙な人物たち。まるで霧の中から菩薩像だけが浮かび上がっているように見えるが、遠目にははっきりしないこの奇妙な脇役たちも、一歩一歩近づいてみると、大小さまざまな仏像や菩薩像だと分かる。まるで、仏の悟りの世界を象徴する曼荼羅のようにも見えてくる。
  曼荼羅には本来「本質を得る」という意があるが、この「樹炎菩薩」を通して田澤茂が描き出そうとしたものも、彼の絵画世界の本質なのかもしれない。