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今月の1点 Monthly Pickup 1月

《 終わらない一日 》 森 京子 (もり・きょうこ 1969~)

2005(平成17)年 油彩・キャンバス 縦130.3×横162.0 (cm) 《個人蔵》

 

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 校庭や公園の片隅にあった「雲梯(うんてい)」を覚えていますか?
 腕力に頼らず、体を揺らし反動を上手に利用して渡った記憶がある方もいるのではないでしょうか。
 巨大な四角形の雲梯は、作者が横浜で見た四角い歩道橋から着想。
 作品制作にあたり、水着姿で早朝の公園に夫婦ででかけ、一方が雲梯を渡る姿を撮影するなどして、雲梯をする人の動きを研究したそうです。
 6人の男たちが渡りつづけている四角雲梯は広角レンズで撮影したようにひずみ、作品そのものもそれをなぞるような形をしています。さらに右端の男の足は画面から突き出ていて、森京子さんが2000年頃から手がけだした変形作品の特徴を備えています。
 この変形作品がうまれた背景や制作意図がよくわかるのが、作者が月刊誌『ボザール』の記事「油絵教室 夢とノスタルジーの世界 森京子」に寄せた「作品のテーマと技法のポイント」にある次の一文です。

 

 

 

 

    以前から小品で立体を制作していましたが、周りの反応もよく、自分でも平面より楽しんで制作できているなと感じていました。
    ただ、平面への執着が強かったので、何とかして立体の面白さを平面に持ち込めないだろうかと考えていました。そこで変形パネルを用いることを
   思いついたのですが、自分ではボックスアートや舞台美術を創っているような感じで描いており、人のシルエットの形にパネルを変形しているのは、
   舞台から登場人物が観客の方に半分身を乗り出しているような感覚でやっています。
    画面の中のみで完結するのではなく、変形することで画面の外にまで世界を広げることが出来ればいいと思っています。

  (月刊『ボザール』2002年6月号)

 さて、この作品。地面(にあたる部分)にはひとりの男が漕ぐボートが描かれています。と、いうことは、ここは水上!?
 ボートの男は、雲梯の男たちの救い主なのか?かれらの「終わらない一日」は、ほんとうに「終わらない」のでしょうか??

(美術館 N.Y)

 

<略歴 >

1969年 東京都に生まれる。
1992年 多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。同年「独立展」入選。
1993年 ギャラリーイセヨシ(東京・銀座)の「青い会」に出品。以降、グループ展多数。
1994年 多摩美術大学大学院美術研究科修了。同年、ギャラリーイセヨシ(東京・銀座)にて個展。以降、ギャラリーいっぽ(同)、Gallery Tanaka(同)、柴田悦子画廊(同)、
      カフェ&ギャルリソシエール(千葉・船橋)、f.e.i art gallery(横浜・楠町)にて個展開催。
1999年 茅ヶ崎市内のアトリエ兼住居に転居(2004年まで)。
2001年 「独立展」にて新人賞を、翌年、独立賞を受賞。
2002年 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(東京・新宿)での「第21回安田火災美術財団選抜奨励展」に出品。
2003年 独立美術協会会員に推挙される。
2004年 日本橋高島屋(東京)での「前田寛治大賞展」に出品。
2006年 日動画廊(東京・銀座)での「第41回昭和会展」にて優秀賞受賞。
2016年 茅ヶ崎市美術館で企画展「―かすかな光・覚めて見る夢―森栄二+森京子展」が開催される。

 

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