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《光と空間のための作品》 藤田道子(ふじた・みちこ 1980~)

(読み方:ひかりとくうかんのためのさくひん)
2017(平成29)年 可変式 インスタレーション  木、絹糸、鏡、硝子、紙 《作家蔵》

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            撮影:高橋京子 

特定の場所に、物を配置することで場を変容させ、空間全体を作品とする表現方法「インスタレーション(空間芸術)」を得意とする藤田道子。

茅ヶ崎市美術館において、藤田が作品としたのは、光がふんだんに降り注ぐ美術館エントランスである。

配置されたのは、大きなガラス壁面に天井から吊られた布、布の下をうっすらと染めるレモングラスの色、

楕円形の木枠、立て掛けられた棒、引かれた糸、かすかに透ける紙。


場所に身を置き感じられるのは、

海に近い茅ヶ崎の地が創り出す冬独特の白い「光」、物と物との間に生まれた「空間」、人の動きによって揺らめく「空気」。


朝、東から差し込む光は、地のタイルにプリズムを創り出し。光の粒を落とす。

昼、布には、風に揺れる木々の葉、空をきる鳶、坂道をあがる人々の影が映り込む。

夕、陽の傾きとともに、張りめぐらされた糸の存在は浮かび上がり、ネガとポジがゆっくりと反転していく。

一日の間で、一瞬たりとも同じ姿を見せない。

この場所 この日 この時間のためだけの作品。


時間に身をゆだね、記憶の中に留めておくことしか出来ない藤田道子のインスタレーション作品は、

日常生活の中で、目に見えないものの存在に気付くことを促し、我々の感覚を研ぎ澄ます装置のように、

その場に成立するのである。

 



「光と空間のための作品」展(会期:2017年11月11日~12月3日)にて展示。([同時開催] 2017年度 茅ヶ崎・寒川地区 中学校美術作品展

 

(美術館 H.F) 

<略歴 >

1980年大阪生まれ。東京造形大学卒業。横浜美術館市民のアトリエ、東京造形大学にてシルクスクリーンの講師を務める。身体や自然現象から受ける感覚をもとに、木、糸、布、紙、ガラスなどの素材を用い、幾何学形態や規則的要素を取り入れたインスタレーションや立体作品、シルクスクリーンでの作品を発表。
http://www.michiko-fujita.com

 

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