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《 湘南風景(冬)》 岡本喜久司 (おかもと・きくじ 1920-1987)

1985(昭和60)年 油彩・キャンバス 縦41.0×横53.5cm 《茅ヶ崎市美術館所蔵》

 

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茅ヶ崎という地名を聞いて多くの人が思い浮かべるのは、明るい太陽に青い海、サーフィンに興じる人々といった、光りあふれる夏の海岸風景ではないでしょうか。

しかし、この作品で描かれているのは、雲に一面覆われた空と濃いグレーの砂浜、海を眺めるまばらな人々と奥に霞むように見える町の風景。

ちょうど今ぐらいの季節を描いたものではないかと思われます。

冬の様子を描いたこの作品からは、冬特有の空気の澄んだ冷たさが伝わってくるようです。さらに、画面に近づき見えてくるのは、粒子の集合体であることが感じられるように細かく描かれた砂浜と、そっと筆で色をのせるのみで描かれた人々の姿。その丁寧な筆運びは、画面上に落ち着いた静けさを漂わせています。

作者である岡本は、長年茅ヶ崎に住み、教員として地域の子どもの教育に熱心に取り組む傍ら、美術大学に通い自身が生徒となり学ぶ日々を送りました。商学、法科、美術と分野を超え、常に学ぶ姿勢を貫いた経歴からは、実直で勤勉な姿が想像されます。
岡本は、この湘南海岸をこよなく愛し、四季折々に変化する風景を描いた作品を多く残しています。

(美術館 H.F)

 

<略歴 >

1920(大正9)年北海道に生まれる。明治大学商学学校を卒業後、大蔵省総理庁等に勤務。その後、中央大学法科二年修了。茅ヶ崎市立松浪中学校で教員をする傍ら、多摩美術大学に通い1957年卒業。1964年神奈川県立青少年センターに勤務。1973年茅ヶ崎第一中学校の教頭、1976年~1981年まで寒川中学校校長。教員生活を送る一方で、新制作展、春陽展に出品するなど画家として精力的に活動。1948年には三橋兄弟治をリーダーに「茅ヶ崎美術クラブ(現・茅ヶ崎美術家協会)」を創立するなど地域文化発展に貢献。

 

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