冬の浜辺は人が訪れることの少ない静かな場所ですが、そこにいて人は不思議と孤独を感じないことがあります。見えるのは海と空と浜の灰色の風景ですが、耳を澄ますと胎動する小さな音たちの響きを聴き取ることができるからではないでしょうか。この冬、茅ヶ崎海岸に近い美術館で手法が異なる二人の現代作家のコラボレーションによりひとつの風景が創り出されます。
田中みぎわ[1974-]は水墨のみずみずしい手法をもちい、土地から汲み取ったインスピレーションを墨のひろがりに重ね、大気の現象である気象と私たちの心に直感的に思い浮かぶ心象が不思議と溶け合い、無限の宇宙につながることを予感させます。
留守玲[1976-]は鉄を素材に熔接(ようせつ)・熔断(ようだん)・鍛金(たんきん)の手法により日常的な器や装身具のほかに巨大なオブジェを制作しています。形が定かでない心象を具現するような複雑に入り組んだ金属の塊は力強く、見る者の心に落ちていく不思議な力を秘めています。
本展では両作家の新作をふくむ作品をご紹介いたします。新しき年を迎える神聖な季節、平面と立体が境界をこえて響き合い、新世界に向けて噴出するうねりを感じていただければ幸いです。
会期 | 2009年12月13日(日)-2010年2月14日(日) |
---|---|
休館日 | 月曜日、12月24日(木)、29日(火)-1月3日(日)、12日(火)、13日(水)、2月12日(金) |
開館時間 | 10:00-17:00(入館は16:30まで) |
料金 | 一般500円(400円) 大学生300円(250円) 高校生以下無料 ※市内在住65歳以上、市内在住の障がい者およびその介護者は無料 ※( )内は20名以上の団体料金 |
会場 | 茅ヶ崎市美術館 展示室 |
主催 | 財団法人茅ヶ崎市文化振興財団 |
田中みぎわ
1974年 東京都生まれ
1995年 安宅賞受賞
1999年 東京藝術大学大学院修士課程美術研究科日本画専攻修了
2005年「VOCA展 2005」府中市美術館賞を受賞
2009年 企画展「現代の水墨画 水墨表現の現在地点」(富山県水墨美術館/練馬区立美術館)に出品ほか
留守玲
1976年 宮城県生まれ
2002年 多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了
2004年「第11回日本文化藝術振興賞」日本現代藝術奨励賞を受賞
2007年「〈素材×技術〉からフォルムへ-布と金属-」(茨城県つくば美術館)、「工芸館開館30周年記念展Ⅱ 工芸の力―21世紀の展望」(東京国立近代美術館工芸館)に出品 ほか
関連イベント
ミニコンサート「テトマニ~Merry Xmas!!」
日時:2010年12月20日(日) 14:00-
会場:美術館エントランスホール
出演:佐藤貴子(パーカッション)、村田朋子(マリンバ)、望月かおり(マリンバ)
料金:無料(申込不要)
作家によるギャラリートーク
日時:2009年1月24日(日) 田中みぎわ=13:00-14:00 留守玲=15:00-16:00
会場:美術館展示室
料金:無料(要観覧券/申込不要)
お茶会「田中みぎわさんと留守玲さんの作品に親しむ」
田中さんの絵や留守さんの小品を床の間や座敷に置き、留守さんの 鉄の茶杓と皿を使用します。いずれも茶会でのみ公開する作品です。
日時:2010年1月31日(日) ※一席30~40分程度
[小間] A 抹茶席(濃茶)8名 /10:00- B 抹茶席(薄茶)8名 /11:00-
[書院] C 抹茶席(薄茶)10名 /10:00- D 煎茶席(大福茶)10名 /11:30-
会場:松籟庵(高砂緑地内)
定員:中学生以上36名(上記A~Dよりお選びください)
料金:一席500円(申込制/先着順)
協力:抹茶席=裏千家 長谷川宗栄・金子宗貞 煎茶席=松月流 長澤麗翠・石井香翠
申込:12月13日(日)10:00より、電話または美術館受付にて受付
留守玲さんの仕事場を訪ねて
制作中の作品や熔接技法の実演を見学します。ティータイムに留守さんとの懇親会もあり。
日時:2010年2月7日(日)13:30-16:00(JR二宮駅集合)
場所:小田原市小竹
講師:留守玲
対象:中学生以上
定員:10名
料金:600円(お茶代含む ※交通費は別途)
協力:山野草&ギャラリー宙(SORA)植物園
申込:12月13日(日)10:00より、電話または美術館受付にて受付