美術館について

美術館概要

相模湾に面し、湘南地域の中心に位置する茅ヶ崎市には、明治期「東洋一のサナトリウム」と呼ばれた大規模な結核療養所・南湖院がありました。南湖院には患者として、また見舞客として多くの著名人や文化人が訪れました。一方、温暖な気候で東京近郊という利点から別荘地や住宅地にも選ばれました。茅ヶ崎に暮らした芸術家は少なくなく、優れた作品が数多く残されています。

戦後様々な文化・体育施設が開かれ、市民の余暇活動の充実に貢献するなかで、茅ヶ崎市は、郷土に関連する優れた美術品を収集、保存、展示を行うとともに、市民の創作および発表活動を支援する施設として茅ヶ崎市美術館を設立。1998(平成10)年4月に開館しました。 美術館が位置する高砂緑地には、オッペケペー節で知られる近代演劇開祖の一人、川上音二郎とその妻で日本人初の舞台女優となった貞奴が暮らし、その後、日本化薬株式会社を率いた実業家であり、浮世絵版画の大コレクターである原安三郎の南欧風の瀟洒な別荘がありました。小高い丘でもある高砂緑地の裾野には、日本庭園と本格的な茶室を持つ「松籟庵」があります。古き良き湘南の名残を留める美しい松林からは、「松籟」の語源の一つである吹きすぎる風の音が今日も聞こえています。

コレクション

茅ヶ崎市美術館は、茅ヶ崎にゆかりのある作家や作品を中心に、現在約2000点の美術品を収蔵しています。なかでも、日本近代美術史に名を残す萬鐵五郎、小林清親の門下で新版画の絵師として活躍した土屋光逸、マティスにその色彩感覚を認められた青山義雄などはコレクションの核となっています。また、近年では神奈川を拠点に活動する新進作家の作品を積極的に蒐集し、湘南の個性あふれるコレクション形成に努めています。

萬鐵五郎《海岸風景》(1926)
土屋光逸《祇園の夜桜》(1932)

指定管理者制度について

2006(平成18)年4月より公益財団法人茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団が指定管理者として管理・運営を行なっています。