展覧会
開催終了
2006年4月26日(水)-6月4日(日)
具象と抽象の間 -森治郎水彩画展

茅ヶ崎市美術館では1998年(平成10)の開館以来、毎年、茅ヶ崎に在住する作家の展覧会を開催してきました。2006年(平成18)度は、昨年まで茅ヶ崎美術家協会の会長をつとめられた森治郎氏の水彩画展を開催します。
森治郎氏は1929年(昭和4)、茅ヶ崎市南湖中町に農業を営む森愛太郎氏の次男として生まれました。その後、茅ヶ崎町立第一尋常高等小学校(茅ヶ崎小学校)から平塚の第二海軍火薬厰をへて、戦後まもなく茅ヶ崎高等学校の定時制に入学というように、根っからの茅ヶ崎っ子として幼少の頃から海辺の自然を愛し、絵を描くことに親しんでいました。そして、定時制高校一年のときに美術教師として茅ヶ崎を代表する画家・三橋兄弟治氏が赴任されたことで氏に師事することとなり、卒業後は氏のもとで本格的な作画の道に入ったのです。その頃から水彩画を得意とし、1954年には第13回創元会展に入選してプロの絵描きとしてスタートを切りました。翌1955年には第14回水彩連盟展に今回出品の「焼け残った倉庫」が入選し、以後、毎年同展に出品するとともに、1957年の第16回水彩連盟展では今回出品の「海辺の家」が資生堂賞を受賞、1961年には32歳にして水彩連盟の会員に推挙されています。それ以降、同連盟の重鎮として制作はもとより会の運営にも尽力し、現在、同連盟の理事をつとめています。また1970年には寒川美術協会、1981年には神奈川水彩、1984年には茅ヶ崎美術家協会の創立メンバーとなるなど、地域の美術振興にも力を注いで現在にいたっています。主だった受賞歴としては、1955年の第7回茅ヶ崎市文化祭美術展で市長賞、1978年のイタリア美術賞展で優秀賞、1980年の第39回水彩連盟展で小堀進賞(今回出品の「浮舞」)、同年のスペイン美術賞展で奨励賞、1988年の第47回水彩連盟展で文部大臣奨励賞(同「飛遊舞」)その他があり、1977年には紺綬褒章を受章、1989年には寒川町より文化功労表彰を受けています。
今回の展覧会は、森氏の初期の頃から現在までの50有余年の長きにおよぶ画業を通観するものです。はじめ具象からスタートした氏は、やがて1964~65年頃には抽象にとりかかり、その後一貫して「具象と抽象との間」に自らの制作のスタンスを置き、今日までの作画活動を展開してきました。氏の絵画のおもなテーマは、まず具象については茅ヶ崎の海岸風景とヨーロッパやエジプト、アメリカなどの取材旅行にちなんだ各地の風景など、風景画が中心です。いっぽう、抽象については恩師の三橋兄弟治氏が命名した「日本的感性の抽象表現」という形容が簡にして要を得たものといえます。この展覧会により、これまでも茅ヶ崎市民に親しまれてきた氏の絵画がいっそう多くの人びとの目に触れ、愛されますことを願ってやみません。

《快晴の海辺》
会期2006年4月26日(水)-6月4日(日)
休館日月曜日、5月2日(火)、9日(火)、10日(水)、11日(木)
開館時間10:00-18:00(入館は17:30まで)
料金一般300円(200円) 大学生100円(70円) 高校生以下無料
※市内在住65歳以上、市内在住の障がい者およびその介護者は無料
※( )内は20名以上の団体料金
会場茅ヶ崎市美術館 展示室
主催財団法人茅ヶ崎市文化振興財団

関連イベント

特別講座「森治郎-具象と抽象の間」
日時:2006年5月14日(日) 14:00-15:30
会場:美術館展示室3
講師:浅井和春(当館館長・青山学院大学教授)
定員:40名(申込制/先着順)
料金:無料
申込:4月26日(水)10:00より、電話または美術館にて受付。

ミニコンサート「箏はうたう 日本の調べ」
日時:2006年5月5日(金) 14:00-
会場:美術館エントランスホール
出演:津下歌代美(箏)、下山歌飛倭(箏)、堀歌夕希(箏)、平桜旦山氏(尺八)、鈴木理恵子(うた)
料金:無料(申込不要)

ギャラリートーク
日時:2006年4月29日(土)、5月21日(日) 各日14:00- 
会場:美術館展示室
料金:無料(要観覧券/申込不要)