展覧会
開催終了
2008年1月22日(火)-3月9日(日)
岡本太郎のまなざし&湘南の原始美術

茅ヶ崎市美術館の今年最初の企画展は、岡本太郎の作品と湘南の原始美術とのコラボレーション展です。
岡本太郎(1911-1996)は1929(昭和4)年に慶應義塾普通部を卒業し、同年東京美術学校(現、東京芸術大学)洋画科に入学しますが、同12月には両親の渡欧に同行してパリを訪れ、当時のフランスを中心とするヨーロッパ近・現代美術の波に身をゆだねます。若き岡本にもっとも感銘を与えたのはピカソの作品でした。シュルレアリスムへの傾倒も早くからみられ、非具象芸術グループの「アプストラクシオン・クレアシオン」(抽象・創造協会)が開いた展覧会に入選して以降、サロン・デ・シュール・アンデパンダン展や国際シュルレアリスム・パリ展など多くの展覧会に出品し、個展も開催しています。1940(同15)年の第二次世界大戦の勃発で日本に戻りますが、召集により中国に出征、収容所生活を送るなど苦難の時期をへて、ようやく戦後の制作活動を再開するのは1947(同22)年、36歳のときでした。以来、岡本は日本のモダンアートの旗手として、国内外でさまざまな作品を発表してゆきます。

岡本に一つの転機が訪れるのは、1951(同26)年秋、東京国立博物館で縄文時代の土器・土偶に出会ってからです。翌年「四次元との対話―縄文土器論―」を発表、そこで縄文の土器や土偶など原始の造形に内在する強烈な美意識を説いています。これは、芸術家による斬新な芸術論というに止まらず、日本の考古学や美学・美術史への新たな視座を確立したという点においても重要です。岡本の作品に、縄文土器や土偶のイメージが少なからず投影されるのもそれ以降のことです。1970(同45)年の大阪万国博覧会に際しては「太古の昔からここにあったような」祭りの象徴として《太陽の塔》を制作しています。1960年代以降、彼は沖縄をはじめ日本の各地を訪れ、民族学的視点から多くの写真やエッセイ、芸術論をまとめていますが、このような岡本の民族固有の芸術への強い関心は、フランス留学時代にパリ大学で民族学を学んだことと無縁ではないともいわれています。

今回の展示は大きく2部で構成されています。まず1部は岡本太郎が制作した立体3点と平面6点、それに彼の眼によって切り撮られた縄文文化や民族文化に関連する写真28点を展示します。これにより、岡本の《まなざし》のありようを鑑賞していただきたいと考えます。続いて2部では、茅ヶ崎を中心とする湘南地域(鎌倉・平塚・小田原)とその隣接地域(横浜・寒川・厚木・大和・秦野・海老名・大井・相模原)から出土した縄文時代草創期~晩期の土器・土偶、および弥生前~後期の土器や古墳時代の埴輪など総数約90点余りを展示します。今回の2部の展示には、湘南地域からはずれる多くの遺跡から出土した作品がふくまれますが、縄文中~後期の土器・土偶、さらには古墳時代の埴輪などの優品の魅力を市民の皆さんにぜひ味わっていただくため、今回とくに出品をお願いしました。さらに、茅ヶ崎出土の作品についても、それら各地域の作品と比較して決してひけをとらないことを、実物によって認識していただけたら幸いです。

岡本太郎《遊ぶ》1961年 東京国立近代美術館蔵
会期2008年1月22日(火)-3月9日(日)
休館日月曜日(ただし2月11日は開館)、2月12日(火)、13日(水)
開館時間10:00-17:00(入館は16:30まで)
料金一般300円(250円) 大学生200円(150円) 高校生以下無料
※市内在住65歳以上、市内在住の障がい者およびその介護者は無料
※( )内は20名以上の団体料金
会場茅ヶ崎市美術館 展示室
主催財団法人茅ヶ崎市文化振興財団
協力財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団

関連イベント

特別講座「岡本太郎が見た原始美術」
日時:2008年2月17日(日) 14:00-15:30
会場:美術館展示室3
講師:森山哲和(森山考古造形研究所所長)
定員:40名(申込不要)
料金:無料(要観覧券/申込不要)
申込:1月22日(火)10:00より、電話または美術館にて受付。

ミニコンサート~古代土笛ライブ~「原始の響き」
日時:2008年2月3日(日) 14:00-
会場:美術館エントランスホール
出演:宇々地(土笛・太鼓・聲)、多麻美(土笛・波紋音・イダキ)/ゲスト=伊藤虹(ダンス)
料金:無料(申込不要)

ワークショップⅠ「からむし織りでつくってみよう」
わが国最古の織物とも呼ばれているからむし織りでアクセサリーをつくります。
日時:2008年2月16日(土) 14:00-16:00
会場:美術館2階アトリエ
講師:ますみえりこ(織家)
定員:16名(申込制/先着順)
料金:1,500円
申込:1月22日(火)10:00より、電話または美術館にて受付

ワークショップⅡ「緋襷(ひだすき)でつくる」

粘土で形づくったものを藁で巻いて焼き、器や皿をつくります。
日時:2008年3月1日(土) 14:00-16:00
会場:美術館2階アトリエ
講師:渡辺賢司(陶芸家)
定員:16名(申込制/先着順)
料金:2,500円
申込:1月22日(火)10:00より、電話または美術館にて受付。

ギャラリートーク
日時:2008年1月27日(日)、2月10日(日) 各日14:00- 
会場:美術館展示室1・2
料金:無料(要観覧券/申込不要)