イベントレポート
2015年5月2日
実技講座「銅版画メゾチント体験」第三回

先週の木曜日(4月23日)、実技講座「銅版画メゾチント体験」の第三回を実施しました。
今回は最終日、始めに実際に試し刷りを行った後の微調整や修正方法についての説明がありました。

前回使用したメゾチントに使う道具、スクレーパーやバーニッシャーに加えて、草花の葉脈などの細い線を入れる際に使うニードル、磨いて明るくなった部分を少し暗くしたいときに細かな傷をつけるためのルーレットの2つの新たな道具について説明があった後、参加者皆さん各自のペースで刷りの作業へと移りました。

刷りは、ローラーで黒いインクをまんべんなく版に付け、インクの光っているところをなくすように寒冷紗(かんれいしゃ)という布で表面をなでるようにインクを拭き取っていきます。最後は自分の手で残りのインクを拭き取り、プレス機に置き、上から予め湿らせておいた紙を載せます。ゆっくりとプレス機のハンドルを回し、均一に圧をかけて完成です。

講師の浜西さんによると、紙の白からグレーの調子をどれだけ出していくか、黒がどれだけ空間として感じられるようになるかがメゾチントの醍醐味。3週間という短期間の講座だったにも関わらず皆さん驚く程の完成度でした。

最後には特別に、講師の浜西さんが雁皮(がんぴ)という紙を使った「雁皮刷り」と、いくつもの色をのせて刷る「アラプペ刷り」という2種類の刷りのバリエーションを披露してくださりました。この実技講座でメゾチントの制作体験をされた皆さんは「こんなに大変な作業だとは思わなかった。こうやって作られているとは知らなかった。丹阿弥さんの作品は本当に凄い。」と、丹阿弥さんの作品を注意深く見て、改めて驚かれていました。参加された皆さんにとって、これまでとは少し違った見え方で現在開催中の「時のきらめき 丹阿弥丹波子 銅版画展」をより深く観賞するきっかけとなっていただけたのではないかと思います。

[学芸員:H.F]

【この場をお借りして… 告知です!】

さて、いよいよ明日(5月3日)は「時のきらめき 丹阿弥丹波子 銅版画展」関連ミニコンサート、
「ヴァイオリンとチェンバロの調べ モーツァルトの時のきらめき」を開催します!

演奏は、楠山裕子さん(チェンバロ)、 早房あかねさん(ヴァイオリン)のお二人。

“丹阿弥さんがお好きなモーツァルト。ヴォルフガングの音楽帳より、演奏される機会の少ない、しかしきらきらと輝く幼年時代の作品を中心にお届けいたします。併せて、彼が尊敬したバッハの作品より一曲、最も充実しているといわれるソナタをお楽しみください。新緑を背景にヴァイオリンとチェンバロの音色が心地よく響きますように…。”

申込不要、入場無料です。どうぞお聴きください!

[広報:K.I]