透き通った青空が広がる秋晴れの本日(10月25日)、古来より組紐を手がける由緒ある道明家の道明三保子さんを講師にお招きし、参加者に組紐の体験をしてもらいました。
まずは組紐の歴史と役割について学ぶ座学です。現代では帯締など和装の小物に使われることの多い組紐ですが、平安時代の平家納経をはじめとする巻子や掛軸の巻緒や刀剣、鎧などに使われるなど、幅広い役割を持っていました。とりわけ鎧はいわば死装束なので華麗な組紐で装飾されたそうです。なるほど。
そうした興味深い話に聞き入っているとあっという間に時間が過ぎてしまいますが、いよいよ実技です。今回の受講者の中には過去の講座に参加された方もいらっしゃいました。改めて人気のほどが窺えます。
今回道明さんが用意してくれた紐は、棟方志功の作品から色を選んだもの。《星座の花嫁「貴女等箒星を観る」》《道標の柵(御鷹揚の妃々達)》《天之宇受媛之美古度御渡留図》の4点の作品からそれぞれ色彩を抽出し、本講座のために染色までしてくださいました。
しかも今回は展覧会「棟方志功 萬鉄五郎に首ったけ」の監修者で棟方志功研究者、なおかつ棟方志功のご令孫の石井頼子さんがゲスト参加してくださいました。棟方志功の色について説明していただき、参加者一堂ふむふむととても勉強になったご様子。ラッキーなサプライズと皆さんとても満足されていました。
実際の組紐作業は穴の空いた丸台にX状にそれぞれ三本ずつ左右にたれた紐を内側から左右反対の手ですくい上げ、対角線の外側に持って行くというもので…と書いても自分でもわけが分からなくなります。これは実際に見て、やってみるしかありません。体でリズムを覚えればあとは自然に出来るようになる、らしいです。ちなみに今回は紐を止める玉が12個ありました。
黙々と作業に集中し、2時間も経てば皆さんだいぶ慣れてきました。紐が25センチほど組み上がればハサミで切って、曲げて束ねて金具を付けて、ストラップの完成です。最年少の中学校一年生の女の子は早くて上手い。初めてではなさそう。わけを聞けば普段ミサンガを編んでいるとのこと。道理でね。
皆さんとても上手に組めました。大事にすれば一生モノになるかもしれないストラップです。今日体験した思い出とともに長く使っていただきたいものです。
[学芸員:T.T]