3月24日、25日、26日の3日間、春季収蔵作品展の関連催事「春の3DAYS 0歳からシニアまでみんなウェルカムデー ~のんびり美術館~」を開催しました。
タイトルの通り、どなたでもウェルカムな3日間で申込み不要のこのプログラム。小さなお子さんを育てている親御さんの中には、当日の天候やお子さんの体調によって、参加できるか分からないから申し込むのにためらうという方、シニアの方の中にも出来るだけ事前の約束をしないようにしているという方もいます。そこで、そのような心配なく、もっと気軽に、時間に捕らわれることなく、のんびりと美術館を楽しんでもらおうというのが今回の企画のねらいです。
今回ご協力いただいたのは、当館の企画展で実施している「0歳からの家族鑑賞会」講師の冨田めぐみさんと、冨田さんが代表を務めるNPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会の皆様。この3日間のために準備したものは4つのコーナー。
1つ目のコーナーは、「芸術家みたいに描くアートワーク」
「絵の具のアートワーク」では、自分の背の高さに合わせて画用紙を設置し、好きな色の絵の具をつけた筆を自由に動かし、絵を描くコーナー。大きな紙に大胆に描くのがコツ。0歳の小さな子どもから大人まで、イーゼルに向かう作家のように真剣な面持ちで描く姿が印象的でした。筆を使わず指で描くご家族もいて、お子さん・お母さん・おばあさま3世代によるなんとも素敵な共同作品が出来上がっていました!
「色鉛筆のアートワーク」では、アートを通した表現によるメンタルケアを長年実践されている冨田さん曰く、細かい線や色が描けることから、絵の具の大胆さとは異なり、個人でじっくりと描く作業に向いているとのこと。そこで、色々な紙の種類を用意しました。中でもちょっと珍しいのが半透明の紙トレーシングペーパー。描いた色が透ける楽しさや、いつもとはちょっと違う感触を楽しんで貰いました。そして、描くのに迷ったときのための描くヒントも各コーナーに掲示しました。
2つ目のコーナーは、「ミュージアムキットで遊ぼう」
先日のブログでもご紹介した文教大学と美術館が協働で制作したミュージアムキット。展示されている作品を細かい部分までより深く鑑賞するために、作品のコピーをパズルにしたものや○△□の形や色の組み合わせを楽しむキットをこのプログラムでも活用しました。
3つ目のコーナーは、「ちょっと一息。憩いのコーナー」
今回の春季収蔵作品展のテーマ「うたたね」にちなんで、のんびりと過ごしていただくために用意したのがこのコーナー。美術館の裏庭で“ガーデニング倶楽部”のメンバーとともに育てたハーブの香りを楽しめたり、アートワークや鑑賞に疲れたときにちょっと喉を潤すためのハーブティーが飲めたり。小さなお子さんが座ったり、寝転がったりできるスペースも設けました。コルクマットを敷いた小さなスペースだったのですが、音のなるオモチャやぬいぐるみの効果もあって、多くのお子さんがゆっくりとくつろいだ様子で過ごしてくれていました。
4つ目は、「鑑賞レクチャー&ツアー」
美術館で作品を見るときのマナーに始まり、作品を楽しむコツなどのレクチャーを受け展示室へ。今回は展示室で作品についての感想をお互いに話し合ったり、アトリエに戻りみんなで座って、気になった作品について改めて学芸員から作家や作品についての解説やテーマを設けて展示した背景について説明をしました。じっくりゆっくりと作品について話し会える時間が流れていました。
そして、ときどき音楽演奏も。間近に聴くバイオリンの音色。マトリョーミンという珍しい楽器の演奏もあり、描く・見る・嗅ぐ・聴く、色々な体験を楽しんでいただきました。
当日ぶらっと美術館に来たという方が参加してくださることも多く、3日間で約150名もの方がご参加くださいました。参加者からは「異世代が交流することでいろいろな見方ができた」「1人でみるのとは違った気づきがあり、作品の楽しみ方が増えた」「美術館が身近に感じられた」「赤ちゃん連れで美術館に来れるとは思っていなかったので嬉しい」「乳児でも本格的な絵に反応するのを知り驚いた」「心がほぐれた」「ゆったりとした時間と懐かしい時間を過ごせた」など沢山の嬉しい感想が寄せられました。
今後も、美術館をもっと楽しんでいただけるように色々なプログラムを開催していきたいと思います。
[学芸員:H.F]