イベントレポート
2016年10月26日
ワークショップ「北斎漫画で紙版画」

12月23日(土)、「岡 耕介展 TUMBLING DICE」の関連イベントとしてワークショップ「ガラス絵を描こう」を行いました。

教えてくれるのは、岡耕介さんご本人。本展でも展示している「ガラス絵」をみなさんと一緒に作っていきます。

画家、版画家、イラストレーターとして活躍する市川曜子さんを講師に招き、北斎漫画展関連のワークショップ「北斎漫画で紙版画」は10月16日茅ヶ崎市美術館のアトリエで行われました。

「紙版画」と言われても、今ひとつピンとこない方が多いかもしれません。実は文字通り紙を版にした版画のこと。専用の厚紙が画材屋さんなどで売られているのです。今回は北斎漫画の中から選ばれたタコ、クジラ、イヌに、市川先生オリジナルのネコとアヒルを加え、そのシルエットにそってあらかじめ切られたものを準備しました。北斎漫画のキャラクターにはお手本がありますが、独自のアレンジを加えることもできます。オリジナルの版のシルエットは決まっていますが、表情の表現は自由に行えます。

厚紙にニードルでインクが残る溝を彫ります。これがプレス機で圧力を加えた後に線になります。さらに紙やすりで全体をこすると、うっすらインクが残るため力加減でグレーの調子が表現できます。

黙々として作業にあたったあとは、ローラーでインクを塗って試し刷りです。参加者自らプレス機のハンドルを回して紙をめくるのですが、その瞬間はまさしく作品が誕生する瞬間。どの作品も輝いて見え、作者本人や周囲の人からも思わず笑顔がこぼれます。はてさてご自分のイメージはうまく再現できたでしょうか。修正を加えながら本番に向かいます。本番の紙は、市川先生が手漉きで作られた葉書サイズの独自の和紙。この風合いが版画にはとても良くマッチしました。レベルの高い作品の数々に、皆さん充実した制作の時間を過ごして大満足のワークショップになりました。

ちなみにオリジナルの版の表現は皆さん本当にそれぞれで、個性が出ていました。お子さんが制作したネコの表情が素朴で何とも可愛かった。

江戸時代の浮世絵版画とは、同じ「版画」でも技法や素材などまるで違う今回のワークショップですが、出来上がりを確認する時のわくわく感は共通していることでしょう。何かと制約が多かった江戸時代とは言え、その瞬間は北斎もきっと同じ思いだったはず。創作の喜びは江戸も現在も東洋も西洋も同じだと思います。


[学芸員:T.T]