イベントレポート
2018年8月12日
マルパ・ワークショップ 茅ヶ崎市美術館「美術館までつづく道」レポート(その5) -小さな感覚特性者と歩く道①-

報告者:藤川悠(茅ヶ崎市美術館 学芸員)

3月25日(日)、絶好のフィールドワーク日和に恵まれ、第2回目のフィールドワークを実施しました。
今回の感覚特性者は、小さな子とそのお母さんです。表現者は画家の原良介さん。
ゲストメンバーについて簡単にご紹介します。

ゲストメンバー紹介

○表現者
原良介さん(画家)
色の特性を活かした勢いのある筆使いと時間の流れを感じさせる絵画作品を主に制作されています。

原良介さん(画家)

○感覚特性者
そよちゃん(2才の子/感覚特性:小さな子)と美帆さん(そよちゃんのお母さん)
そよちゃんと美帆さんは、以前美術館の近くに住んでいました。
今回は久しぶりに茅ヶ崎の地を歩いてもらうことにしました。

そよちゃん(2才の子/感覚特性:小さな子)
美帆さん(そよちゃんのお母さん/感覚特性:ベビーカーユーザー・親)

ステップ1:フィールドワーク

茅ヶ崎駅から美術館までの道のりをリサーチ。以前茅ヶ崎に住んでいたそよちゃんと美帆さんには、茅ヶ崎駅の南口で待ち合わせ、自由に美術館まで歩いてもらうことにしました。
まずは、駅の目の前にある茅ヶ崎の老舗お弁当屋「濱田屋」さんでお弁当を買います。
お店にはお花見の時期に合わせ、華やかなお弁当が並んでいます。

そして、茅ヶ崎では比較的大きな通りである雄三通りを進みます。
道の途中でオシャレなジュース屋さん「bowl market juice & deli」に立寄ったり、道の標識で遊んだり、足もとにいた蟻にビックリして思わず踏みつけてしまったり、そよちゃんは道の途中でも様々な動きをします。

「濱田屋」の彩りがうつくしく美味しいお弁当
ベビーカーの中から大きなアンパンマンをじっと見る
ベビーカーから降りたい年頃のようです
ポールにつかまりくるくる回ってみせます。道の標識が遊具に変身!
湘南をはじめ全国の有機・無農薬野菜&ハーブでジュースを作る「bowl market juice & deli」
注文したのは緑色のジュース。首を直角に曲げて頼んだジュースか見上げています
野菜の色がしっかり出ている栄養たっぷりのコールドプレスジュース
恐くて思わず蟻を踏んづけてしまいます

そして、美術館の立地する高砂緑地では、ベンチで遊んだり、拾った松ぼっくりを何度も何度も蛇口をひねって洗ったり、斜面を駈けのぼったり降りたり。そよちゃんを通して見る道は、どこもかしこもまるで公園か遊園地のようです!

ここではベンチが遊具に変身!
蛇口を何度もひねって水で松ぼっくりを丁寧に洗います
道ではない斜面を上ったり下りたりを繰り返します。なんとも楽しそう

〈画像〉全て撮影:香川賢志

そよちゃんの一挙一動にみんなが思わず笑顔になってしまうフィールドワークを終え、
美術館のアトリエに戻り「感情マップ」の制作にとりかかります。(次号につづく)

茅ヶ崎市美術館「美術館までつづく道」(第2回)~特性:小さな子と母親編~
実施日:2018.3.25 10:30-15:00
会場:茅ヶ崎駅から茅ヶ崎市美術館とその周辺
参加者:計11名
表現者:原良介(画家)
感覚特性者:そよちゃん(2才の子/感覚特性:小さな子)、美帆さん(そよちゃんの母親)
コアメンバー:鎌倉丘星(株式会社インクルーシブデザイン・ソリューションズ取締役/感覚特性:視覚・車椅子)、久世祥三(エンジニア/アーティスト/湘南工科大学教員)、坂本茉里子(デザイナー/アーティスト)、藤川悠(茅ヶ崎市美術館学芸員)
共催メンバー:野呂田純一((公財)かながわ国際交流財団 副主幹)
記録メンバー:岡崎凌大(湘南工科大学総合デザイン学科 久世研究室 学生)
記録・香川賢志(写真家)、金明哲(映像撮影)

〈企画〉茅ヶ崎市美術館
〈主催〉公益財団法人茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団/公益財団法人かながわ国際交流財団
〈協力〉湘南工科大学総合デザイン学科/(株)インクルーシブデザイン・ソリューションズ
〈関連事業〉MULPA(マルパ):Museum UnLearning Program for All/みんなで“まなびほぐす”美術館―社会を包む教育普及事業―
http://www.kifjp.org/mulpa/