茅ヶ崎市美術館スタッフブログ

美術館の日々のできごとをつづります。

報告者:藤川悠(茅ヶ崎市美術館 学芸員)

車椅子ユーザーの和久井さんとアメリカ・ワイオミング州生まれのアーティスト、アーサー・ファンさんと一緒に歩く道。
「海の家」で、夏らしい楽しみを堪能したところで、今度は海から駅に向かって出発です。

夏の暑さに負けるなく、まだまだアクティブな和久井さん。
海から駅に向かう途中、生チョコが有名な茅ヶ崎の名店「湘南 ル・ショコラ・ブンゾー」に寄り、みんなでケーキを購入します。

アーサーさんは、美容室の壁に取り付けられた水色の小さな扉を発見。開くと中からカエルのイラストが。こんなところに小さな秘密が隠されていたなんて!きっと茅ヶ崎市民でも知っている人はわずかなのではないでしょうか。

普段から、アーサーさんは道に何かないか面白そうなことを探しながら歩いているそうです。今回は和久井さんと歩いていたこともあり、低い高さにあるこの小さな扉にも気づいたのでしょうか。

  


画像:お店にスロープがついていて嬉しそうな和久井さん

  
画像:アーサーさんが見つけた美容室の壁面に小さな扉。開けてみるとカエルが登場!

駅に近づくにつれ日も暮れ始め、昼間には開いていないお店の明かりが灯り始めます。
そのなかでも駅前で一際目をひく看板のお店が「ポークマン」さん。季節を問わず一年通し、お祭りの屋台のような賑やかさを放っています。
ここで和久井さんが目をとめたのが、店頭の「スーパーボールすくい」。車椅子の高さだと有利ではないかということで
和久井さんが挑戦し、つづけて他の参加者も挑戦。
結果、一番多くボールをすくえたのは、テクニカルサポーターとして参加している久世さんでした。
どうやら高さではない要因があるようです。

  
画像:インパクトのある看板の居酒屋「ポークマン」!店前でスーパーボールすくいが楽しめます


画像:駅前から美術館への道沿いにある「北村牛肉店」。急でもスロープがあるのでお店に入れます!

茅ヶ崎駅からは、美術館まで最短ルートの道を進みます。
和久井さんは、標識と建物の間の隙間を通ってみたり、、
道を渡る時はうんと手を伸ばして車に自分の存在を気づかせます。
そして、自動販売機ではオリジナルアイテム(?)「伸ばし棒」の登場です。
届かない高さにあるボタンはこの棒で押すそうです。

私たちも貸してもらい使ってみましたが、なかなかの使い心地の良さでした。


画像:道を進む時には、エイヤと手を伸ばし。交通標識との間の狭い道もあえて選んで進みます


画像:手が届かないところには「延び棒」を活用!

  
画像:普段、車椅子の方をご案内している美術館の通用路から館内へ


画像:エレベーター内に鏡がある理由は、バックで出るために。

美術館に戻ると、車椅子の方を普段ご案内している通用口から入り、エレベーターにそのまま乗り込みます。
この時、和久井さんから、エレベーター内に何故鏡がついているのかと質問が出されました。

皆さんは何故だと思われますか?

答えは、バックで出るときに後ろを確認する時のために付けられているそうです。
これまで、身だしなみを整えるためだとばかり思っていたみんなにとっては、1つ勉強になりました。

さて、美術館に戻ってからは、インクルーシブデザイン(*1)の手法で用いられる「感情マップ」の作成にとりかかります。
(次号につづく)

〈画像〉全て撮影:香川賢志

*1 インクルーシブデザイン
高齢者、障がい者、外国人など、従来、デザインプロセスから除外されてきた多様な人々を、
デザインプロセスの最初から巻き込むデザイン手法
参照:http://i-d-sol.com/inclusivedesign ((株)インクルーシブデザイン・ソリューションズ)

 

茅ヶ崎市美術館「美術館までつづく道」(第4回)~特性:車椅子ユーザーの感覚特性者と歩く道編~
実施日:2018.7.29 16:00-19:40
会場:茅ヶ崎市美術館から海から駅へ
参加者:計9名
表現者:アーサー・ファン(アーティスト)
感覚特性者:和久井真糸(感覚特性:車椅子ユーザー)
コアメンバー:久世祥三(エンジニア/アーティスト/湘南工科大学教員)、坂本茉里子(デザイナー/アーティスト)、
藤川悠(茅ヶ崎市美術館学芸員)
共催メンバー:野呂田純一((公財)かながわ国際交流財団 副主幹)
記録メンバー:谷津光輝(湘南工科大学総合デザイン学科 久世研究室 学生)
記録・香川賢志(写真家)、金明哲(映像撮影)

〈企画〉茅ヶ崎市美術館
〈主催〉公益財団法人茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団/公益財団法人かながわ国際交流財団
〈協力〉湘南工科大学総合デザイン学科/㈱インクルーシブデザイン・ソリューションズ
〈関連事業〉MULPA(マルパ):Museum UnLearning Program for All/
みんなで“まなびほぐす”美術館―社会を包む教育普及事業―
http://www.kifjp.org/mulpa/

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