今月の1点 Monthly Pickup 8月
 
 

        
                  「二人」 


土井 俊泰(どい・としやす 1918-2012)

1970年 油彩、紙粘土・キャンバス 138.0×138.0p


土井俊泰《二人》1970年
 

両手を頭上で組み、息のあった同じポーズをとる男女と思しき二人の人物。踊っているのでしょうか、それとも体操しているのでしょうか?とても滑稽でユーモラスに描いてあります。
師である菅野圭介の教えを受け、故郷伊東の風景を中心とした具象画を描いていた土井は、1960年代から「抽象」という時代の流行に影響され、自身もとりくみ始めます。所属する独立展で賞を獲得するも、次第に制作に行き詰まりを感じ、土井は大きなスランプに陥ります。しかし60年後半の渡欧を機に再び具象画へ移行、それまでにはなかった色彩豊かな、空想的で情感のある作風へと発展してゆきます。
全体を赤系の色彩にまとめ、人物のかたちを単純化して、平面的に描かれたこの半具象的作品は、まさに抽象から具象へ展開する時期に制作されました。試行錯誤のなかさまざまな表現方法で描いた土井の一連の作品のなかでも、ターニングポイントとなる重要な作品といえるでしょう。
現在開催中の、常設展「夏季収蔵作品展 ―人物アレコレ―」(8月31日まで)に展示されています。

【茅ヶ崎市美術館 S.T.】

<略歴 >

静岡県田方郡伊東町(現・伊東市)に生まれる。1939(昭和14)年、応召。1941(昭和16)年、帰国。静岡県の天竜で療養、1949(昭和24)年に帰郷。この頃、同地に転居してきた独立美術協会会員の菅野圭介とであい、1950(昭和25)年に師事。翌年、独立展に初入選、以後毎年入選。1959(昭和34)年、茅ヶ崎市に転居。1961(昭和36)年、独立美術協会会員推挙。1967(昭和42)年、渡欧。ナショナル・デ・ボザール展にてアソシエ賞を受賞。1977(昭和52)年より1990(平成2)年まで女子美術短期大学非常勤講師を務める。1996(平成8)年、独立美術協会功労賞受賞。1999年、茅ヶ崎市美術館企画展「土井俊泰の画業」が開催される。2012(平成24)年1月10日、逝去。