今月の1点 Monthly Pickup 1月
 
 

        
           ねこ・コネくしょん図


田口 雅巳 (たぐち まさみ) ( 1936‐2010 )作

1985(昭和60)年
半立体作品 高93.8センチ×幅54.6センチ


ネコこねくしょん図
 

 とらねこ、ぶちねこ、ねこかぶり、まねっこ、しろねこ、ねこやなぎ・・・

 作品各所にちりばめられた猫関連の言葉と造形。言葉遊びをカタチにしたら、こんな具合になるのでしょう。
 現在開催中の共催展「アノ世とコノ世と湘南と 田口雅巳カイコテン」ではこの作品のほかに「はんじものがくづくし」や「いろづくし」などが、言葉遊び造形作品のなかまです。
 言葉と作品のかかわりあいといえば、ぱんぱんに膨らんだ熨斗[のし]袋がビル街を闊歩する図に「贈収賄大手を振って街を行く」の言葉(句)が添えられた「のっしのし」や、絵馬が鉄なべで煮られている「絵馬煮える」などの作品もあります。また、リクルート事件にちなんだ「蕪絵・陸路怪々金欲図(かぶらえ・りくるーとかいかいきんよくず)」には、「この作品はフィクションですので現実によく似た人物が登場する場合があります」という注意書がブラ下げられています。
 これらの造形作品にみられる皮肉や諷刺、駄洒落、パロディ等々は作者・田口さんのスルドイ観察眼と「庶民」の立場からの反骨心、何でもおもしろがってやろうという性分、また、既成のモノに対して常にギモンをもってかかるという姿勢から派生するもの。なかなか一筋縄ではゆかない「田口精神」の発露なのでありましょう。
 田口さんの「言いたいこと」を形にした造形作品とならんで、「見て下さる方々との共感の幅の広さ」が、「(描く)楽しみ」だという風景画も、勿論展示しています。作品をとおして、風景と、そして、田口さんとの対話も、お楽しみください。

■共催展「アノ世とコノ世と湘南と 田口雅巳カイコテン」
会期:2012年1月7日(土)〜3月4日(日)
※真徳寺障壁画の一部も展示しています。

(美術館 N.Y )

< 略歴 >
1936(昭和11)年4月5日、東京に生れる。1945(昭和20)年、平塚、ついで鵠沼に疎開。鎌倉高校在学中より作品を発表。1960(昭和35)年の初個展以来、生涯で100回以上の個展を開催。一方、グループ展や海外での展覧会にも参加・出品。1981(昭和56)年より江ノ電の走る沿線風景などによる展覧会が江ノ電百貨店(現・小田急百貨店藤沢店)を舞台に2010(平成22)年の追悼展まで30年にわたり毎年開催される。1985(昭和60)年、高座郡寒川町に移住。2002(平成14)年、茅ヶ崎市美術館にて「プティ・サロン ゲイジュツ・ギワク 田口雅巳の『美術・解体診書』」が開催される。2008(平成20)年、鎌倉高校同窓の真徳寺(藤沢市西富)・吉川晴彦住職より24枚48面の襖絵(障壁画)制作の依頼をうける。2010(平成22)年7月19日、逝去。