今月の1点 Monthly Pickup 5月
 
 

        
                    磐座


吉川 正道 (よしかわ まさみち) ( 1946‐   )作

左より、2005年、同(二点一組)、2000年、2010年、同
磁器
個人蔵


吉川 正道《磐座》
 

磐座
人が集い 祈る生活の中に 神様が宿る所
――吉川正道

 現在開催中の「陶思考 partII―わが思い、わが心の茅ヶ崎―吉川正道展」の会場のひとつには、大小あわせて5点の球体作品が展示されています。これらの作品のタイトルが「磐座(いわくら)」。今回の展覧会では、この展示室のほかにもエントランスホールや美術館前庭、そして、高砂緑地内の茶室・松籟庵の庭園にも「磐座」が展示されています。それぞれ異なる環境におかれた作品は、周囲の風景と関連しつつ存在感をしめしています。
 この作品がおかれた展示室もふくめ、その場(空間)と作品とのかかわりを作家自身が意をはらって構成されていますので、作品一点一点は勿論、展示空間自体をも鑑賞していただきたいとおもいます。
 192枚の磁器製タイルからなる「回光返照(えこうへんしょう)」や、ひとかかえ程もある「思鉢(おもいばち)」など本展のために制作された作品のほか、多数の棒状のパーツなどからなる「啓蟄(けいちつ)」や、「華(花)俑(かよう)」と名づけられた器などを美術館の一階と地階の各所に展示、長年磁器によるさまざまな表現を追求してきた吉川さんの軌跡を紹介しています。

■企画展「陶思考 partII―わが思い、わが心の茅ヶ崎―吉川正道展」
会期:2011年4月29日(金・祝)〜6月12日(日)

(美術館 N.Y )

< 略歴 >
1946(昭和21)年、高座郡寒川町に生まれ、小学4年生時に茅ヶ崎市に転居。茅ヶ崎市立茅ヶ崎小学校、同第一中学校、逗子開成高等学校に学び、1968(同38)年、日本デザイナー学院研究科卒。同年、愛知県常滑市の兼又陶園(現・陶房杉)に入社。1971(同46)年、朝日陶芸展優秀賞。翌年、常滑の陶芸家集団の一員としてヴァロリス国際陶芸ビエンナーレにて名誉大賞。1975(同50)年、独立。1981(同56)年、朝日陶芸展大賞。以降、朝日現代クラフト展グランプリ(83年)、ニヨン・ボースリントリエンナーレ第二席(92年)、ミュンヘン国際アート&クラフト展ゴールドメダル(98年)、札幌芸術の森クラフトコンクール優秀賞(99年)、出石トリエンナーレグランプリ(2000年)、京畿道世界陶芸ビエンナーレ国際公募展銅賞(01年)、ヴァロリス国際陶芸ビエンナーレ金賞(02年)、台湾国際陶芸ビエンナーレグランプリ(04年)など、国内外のコンクール等で受賞を重ねるとともに、内外各所の個展やグループ展で作品を発表。2005(平成17)年、中部国際空港エントランスロビーに陶壁と球体作品からなる「Water of life 渚(Migiwa)」を設置。翌年、愛知県芸術文化選奨受賞。2010年、宮城県栗原市の風の沢ギャラリーにて「陶思考 吉川正道展―帰園田居―」開催。