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                   「 深 鉢 」




茅ヶ崎市堤貝塚 縄文時代後期
茅ヶ崎市文化資料館蔵


深鉢
 

 堤(つつみ)貝塚は、市域北部に広がる高座丘陵上に立地する縄文時代後期(約3,500年前)の遺跡です。県内有数の縄文遺跡として早くからその存在が知られ、これまでに東西2つの貝塚や竪穴住居跡などが確認されました。1992(平成4)年には、西貝塚の一部が神奈川県の史跡に指定されています。土器や石器、土製品、骨角器、牙製品、貝製品など人工的な遺物のほか、貝類や魚・鳥・獣の骨など多彩な出土品からは、特に当時漁労活動が旺盛であったことがうかがえます。
 写真の土器は、後期前葉(堀之内式)の深鉢です。縄文土器というと、中期の火焔土器や勝坂式土器など、過剰ともいえる華やかな文様が土器を飾る姿を思い浮かべますが、後期になると洗練された文様をもつ端正な姿へと変化していきます。本作品も底部から口縁部に向かって緩やかなカーブを描きつつ朝顔状に大きく開く優美なプロポーションがとても印象的です。口縁部には双孔を有する突起が4カ所付き、平滑に整えられた器面の上半部には、渦巻文を組み合わせたχ字や8の字状の幾何学文様がていねいに描かれ、その造形に縄文人の「美の意識」を見ることができるようです。
 3月9日(日)まで開催中の企画展「岡本太郎のまなざし&湘南の原始美術」展に展示されています。

(美術館 Y.T )