今月の1点 Monthly Pickup 12月
 
 


          「 見える見える 」         


菅野 陽 (すがの よう) ( 1919‐1995 )作

1958年、銅版画・紙
35.0センチ×29.9センチ


見える見える
 

 一見、三角形や四角形の模様のようなこの作品、よく見ると股の間からのぞいたり、手をかざしてこちらを見ている二人の人物が描かれていて、まるで「見える見える」という二人の声が聞こえるようです。
この作品は、ディープエッチという技法で制作されています。ディープエッチは線を描画するエッチングなどと違い、面の深さや広さを表現する技法で、腐蝕された版にインクを盛っても、凹んだ面のふちにしかインクがほとんど残らないため、この作品のように人物の輪郭線の部分が強調され、際立って見えるような表現がされるのが特徴です。また版はかなりの時間腐蝕され段差があるためか、刷られた紙自体にも凹凸のはっきりとしたマチエールが見ることができます。

(美術館 S.T )

< 略歴 >
 1919年台湾に生まれる。43年東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科を卒業。54年版画家関野準一郎氏が開設した銅版画研究所で銅版画の手ほどきを受ける。57年日本版画協会会員となる(63年退会)。95年茅ヶ崎の自宅で死去。
版画制作の傍ら、銅版画の研究者としても多くの著書を残している。『銅版画の技法』(1962年)、『日本銅版画の研究 近世』(1974年)、『江戸の銅版画』(1983年)など。