今月の1点 Monthly Pickup 8月
 
 

「 芙 蓉 」
三橋 兄弟治 (みつはし いとじ) ( 1911-1996 )作

1941年, 水彩・紙, 116.6cm×64.5cm



  一叢(ひとむら)の芙蓉(ふよう)の前に立つ浴衣姿の女性が、縦長の空間のなかにすっきりと安定感よく配されています。
  画題にもなっている芙蓉は木槿(むくげ)やハイビスカスと同じアオイ科の植物です。その多くは朝開花して夕方にはしぼんでしまう一日花(いちにちか)ですが、白い花がだんだんと赤くなり、翌朝しぼむ酔芙蓉(すいふよう)という種類もあります。
  三橋兄弟治は、この作品が出品された旺玄社展で同人推挙、その前年には同展で第一賞を受賞、また紀元2600年奉祝展入選と、画家としての評価が確立しつつあった時期の作品といってよいでしょう。

<略歴>
 みつはし・いとじ 高座郡茅ヶ崎町(現・茅ヶ崎市)に生まれる。一時期を除いて教職に就きつつ絵画制作をおこなう。1950年代前半には水を用いず水彩絵具を堅い筆で紙にこすりつける渇筆(かっぴつ)画法を確立。64年以降スペインをしばしば訪れ、その風景が主なモチーフとなる。水彩連盟初代理事長を務めたほか、茅ヶ崎美術クラブ(現・茅ヶ崎美術家協会)発足の中心となり地域の美術文化の発展にも力を注いだ。
【美術館】