今月の1点 Monthly Pickup 11月
 
 

「向島三圍 堤下の雪景」
小林 清親 (こばやし きよちか) (1847〜1915)作

制作年不詳, 木版(多色)・紙, 19.9×31.3cm



 夜の雪の情景がしっとりと描きだされています。
 画面左は創建600年を超えるといわれる東京都墨田区向島にある三圍(みめぐり)神社の鳥居。ここには描かれていませんが本殿は1861年の建立です。境内にある多くの石碑の中でも松尾芭蕉門下の俳諧師・宝井其角(きかく)が降雨祈願のために請われて作った「遊ふた地や田を見めくりの神ならは(夕立や田をみめぐりの神ならば)」の句碑は有名です。
 鳥居の左手の坂は隅田川の堤防です。ここには昭和初期までは対岸の山谷堀と結ぶ竹屋の渡し(待乳(まつち)の渡し)の船着き場がありました。この付近は墨堤(ぼくてい)と呼ばれ、江戸時代から文人墨客に愛された土地でした。