今月の1点 Monthly Pickup 9月
 
 

「街頭群像(千人針)」
三橋 兄弟治 (みつはし いとじ) (1911〜1996)作

1943年, 水彩・紙, 75.4×116.6cm



 千人針は、多くの女性たちが布に糸を縫いつけることで、出征兵士が無事に帰還することを願う行為で、大勢の人々の力によって願いをかなえる合力祈願の一つである。
 手に布を持つ着物姿の老婆が、出征する兵士の母親だろうか、布を一心に見つめるその表情には、戦地へと息子を送り出すことへの不安が見て取れる。また、周りを取り巻く女性たちからも、戦争に対する不安感や恐れなど、水彩画の柔らかさの中にあっても、張りつめた空気を感じさせる。