今月の1点 Monthly Pickup 6月
 
 

「民話」
田澤 茂 (1925-)作

1965年,油彩・パラフィン, 131.0×161.0cm



  民話という言葉には、ふるさとを思い出させる郷愁があります。
  田澤茂は、津軽平野(青森県)の田んぼやりんご畑に囲まれた、まるで民話の里のような村の光景を見て育ちました。青年時代に上京し、藤沢市辻堂で創作活動をしているうちに、パネルにパラフィン(ろう)を流し厚みをつけ、それをドライバーのような金属製の工具でひっかいて形を作り、その上に油絵具で彩色する独自の技法を作り上げました。やがて彼は、この技法により、日本の民話を抽象的に表現するようになります。この作品はこうした傾向にあり、勢いよく刻まれた画面に油絵具を彩色豊かに塗り重ねて、ふるさとの民話のイメージを一枚の絵として描き出しているように見えます。