今月の1点 Monthly Pickup 1月
 
 

「徹」
水越 茅村(みずこし ぼうそん)(1914−1985)作

1980年, 書(墨・紙), 33.5センチ×46.7センチ



 徹、と聞いて心に浮かぶイメージはどのようなものだろう。例えば徹底、一徹、徹夜…いずれも何事かを最初から最後まで貫き通すこと、中途半端に終らせないという意味だ。
  漢字一字、それ自体が持つ力は存外に大きい。そしてそれを選び、そこに己の思いを込める書家が筆と墨とで生み出す紙上の美には、さらなる深みと豊かさが宿る。
  書表現の探求に精魂を傾けた作者にふさわしいこの「徹」の一字、だがその造形に気負いは見られない。揺るがぬ姿勢はそのままに、あくまで自由なその精神がうかがえる。