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今月の1点 Monthly Pickup 8月

《 ひかりのミナモ 》 MATHRAX〔久世祥三+坂本茉里子〕

2016(平成28)年 可変式 LED、電子回路 《作家蔵》 Poto:KENJI KAGAWA (highlight inc.)

 

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天井から吊り下げられた7つの作品「ひかりのミナモ」は、海や川、水たまりなど、水面に映る光りを表現した作品です。ゆるやかに段階的に変化する光りは、精密にプログラミングされ、水のゆらめきで変化する光りの様子を表わしています。

1990年代初め、青色発光ダイオード(LED)が日本で発明され、光の色の表現が大幅に拡大されました。それに伴い、美しい色での映像表現に多くのアーティストが夢中になりました。そのような中、学生時代に油絵を学んでいたマスラックスの久世祥三は、光を映像という手法ではなく、絵の具のように扱うことを考えました。 「何かを絵にする前に、そういう空間を光や音で作ってしまえばいいじゃないか」と思ったといいます。

今回展示されている7つの作品は、「カフェの百合の花」「長野の林檎」「湘南の海」「高原の夕空」「流氷の海」「知床の港」「木工作業」それぞれ作家にとって印象深い景色を写した写真から抽出された色が使われています。 これまでの絵画という形式にとらわれず、とどめておきたい景色を空間の中に光りで表現することを試みたのがこの作品です。

絵画がもつ静止した時間と刻々と変化し光りのゆらめきを感じさせる動的な時間。 異なる時間が流れる展示室は不思議と見る者の心を落ち着かせます。

現在開催中の「じぶんのまわり-耳でながめて 目でかいで 鼻でふれて 手できいて-」展では、7つの作品全てが白と水色と緑があわさった美しい色の光りになる瞬間があります。

それはまるで、湘南の爽やかな風が展示室を吹き抜けるように感じられる一瞬です。

*現在開催中の「じぶんのまわり-耳でながめて 目でかいで 鼻でふれて 手できいて-」展(会期:2016年7月17日~9月4日)で展示しております。

(美術館 H.F)

<略歴 >

MATHRAX(マスラックス) 〔久世祥三(くぜ しょうぞう)+坂本茉里子(さかもと まりこ)〕
アーティストやデザイナーのためのエンジニアとして活動する久世祥三と、グラフィックデザインやサウンドインスタレーションの制作を行う坂本茉里子で結成したユニット。なでるとオルゴールのような音を奏でる木の動物のオブジェなど、電子回路を用いた光や音の作品を制作する。電気と柔らかくつきあうための電子工作ワークショップなども開催。http://mathrax.com/

 

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