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今月の1点 Monthly Pickup 2月

《 by a forest 》 ( 森のそばで ) 原 良介 ( はら りょうすけ 1975~ )

2012(平成24)年 油彩・キャンバス 縦162.0×横227.3(cm) 《茅ヶ崎市美術館蔵》

 

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薄暗い竹林の中に、髪を額(ひたい)の中央で分けた女性が、背景から手前へと動きを変えて3回描かれています。そして、手だけが2つ、取り残されたかのように描かれています。一体、この女性は何をして、どこへ向かおうとしているのでしょうか。

原の作品には、画面上に同一人物が3回描かれている構図がよく見受けられます。作家は、「3」という数が「推移する時間」をシンプルに表現できる数字だと述べています。 女性が動いていたという記憶の断片が、静止した画面の中には描かれているといえます。絵画を見ているのにもかかわらず、どこか映像を見ているような感覚になるのはそのせいかもしれません。

もうひとつ、原の作品で特筆すべき点が色彩の透明感です。通常、油絵で使われる油絵の具は色を重ねるごとに深みを出していくことに優れている画材ですが、原の作品では一度色をのせる一層塗りのまま、色の重なる部分がほとんどありません。最も発色が良い一層の段階で止め、筆の動き(ストローク)を見せるという点に重点が置かれているからです。
実際に作品を前にすると、勢いよく振り下ろされた筆の痕跡が見て取れます。
部分的に施されたパールの輝きも、どこか見る者を不思議な世界へと誘うかのようです。

 

この作品は「春季収蔵作品展~うたたね~」[会期:2016年2月7日(日)~3月27日(日)]に展示されています。

(美術館 H.F)

<略歴 >

1975年平塚市生まれ。2000年に多摩美術大学美術学部、2002年、同大学院を修了。2001年の公募展「トーキョーワンダーウォール都庁2001」において大賞を受賞。2002年、トーキョーワンダーサイト本郷において「原良介展」、2009年、東京オペラシティアートギャラリーにおける企画展「project N36原良介」など、個展、グループ展を多数開催。茅ヶ崎に在住していた2012年には、当館にて企画展「絵画への小径」を開催。現在、鎌倉市在住。

 

 

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