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《 春の花 ’96 》 丹阿弥丹波子 ( たんあみ・にわこ 1927~ )

1996(平成8)年 メゾチント・紙 縦42.0×横36.5(cm) 《個人蔵》

 

2015_05gatsu_400.jpg1960年頃より半世紀以上にわたり、メゾチントという技法で作品制作を行っている銅版画家 丹阿弥丹波子の作品です。精密に彫られた草花をモチーフにした作品でよく知られている丹阿弥さんですが、中でもこの《春の花 '96》は、1996年に《風の道》とともに第73回春陽展に出品され、岡鹿之助賞を受賞した代表作ともいえる作品です。モノクロームの画面の中で、光を纏っているかのように浮かび上がる画面いっぱいに広がる花々は、不思議と見る者に目の前にない色を感じさせます。作品を制作する際、丹阿弥さんはいつも色を頭の中で思い浮かべながら彫っているといいます。ここは赤だ、ここはピンク、ここは淡い緑というように色を思いながら、また、ごつごつとしたところ、ふさふさとしたところ、と素材感を思いながら版を削っているそうです。そして、メゾチント特有の黒色については、「黒というのは黄色や赤や緑やらをまぜこぜにすると黒になる。結局、黒はあらゆる色彩の要素があるみたいに思う。自由自在に色が表現できるような、錯覚なんでしょうかね、そういう気がしています」と、あるインタビューに答えています。現在、開催中の「時のきらめき 丹阿弥丹波子 銅版画展」[会期:~6月7日(日)]では、今回の展覧会のために丹阿弥さんのアトリエから《春の花 ‘96》の原版を特別にお借りして展示をしています。繊細に彫られた原版からは、さまざまな色を感じさせる美しい光のグラデーションを見ることができます。是非ご覧ください。

 ( 美術館 H.F )

この作品は企画展「時のきらめき 丹阿弥丹波子 銅版画展」 [会期:2015年4月5日(日)~2015年6月7日(日)]に展示されています。

<略歴 >

丹阿弥丹波子 (たんあみ・にわこ) [1927(昭和2)年生まれ]
1927年東京に生まれる。幼児期より日本画家である父(丹阿彌岩吉)の画室で日本画の画材に親しんで育つ。1942年文化学院女学部在学中より木炭デッサンを学ぶ。1954年油彩画で独立展に入選。1956年長谷川潔の作品との出会いがきっかけとなり、駒井哲郎に師事、銅版画を始める。1958年春陽展入選、以降連年出品し、研究賞、岡鹿之助賞を受賞。1971年資生堂ギャラリーで自主企画による個展を開催以降、氷上町立植野記念美術館(現・丹波市立植野記念美術館)、町田市立国際版画美術館など、各地で展覧会を多数開催。また、遠藤周作、芥川喜好などの本の装画も手がける。現在、春陽会会員、日本美術家連盟会員。

 

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