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《 但馬(たじま)の家 》 丹阿弥丹波子 ( たんあみ・にわこ 1927~ )

1968(昭和43)年 メゾチント・紙 縦21.0×横36.0(cm) 《個人蔵》

2015_04gatsu_400.jpg丹阿弥丹波子は、1960年頃より半世紀以上にわたり、メゾチントという技法で作品制作を行っている銅版画の作家です。精密に彫られた草花をモチーフにした作品でよく知られている丹阿弥さんですが、野菜やグラス、小さな虫やおもちゃなどをモチーフにした作品もあります。その中に、風景を描いた作品もいくつかあり、その1つがこの作品です。のどかな田舎の中に佇む古民家。家の前には自転車がとめてあり、縁側には傘が広げてあります。また、画面の右端には洗濯物が干されており、風にゆられているようです。雨があがり陽が差し始めている一場面なのでしょうか。とても静かでゆっくりとした時間が流れているようです。
この作品のタイトルにある、但馬という地域は、丹阿弥さんのお母様の出身地であり丹波子という名前の由来ともなった丹波の隣に位置する兵庫県の北部の地域です。丹阿弥さん自身何度も訪れている土地です。どこか懐かしい空気を感じさせるのは、丹阿弥さん自身の思い出によるところも大きいのかもしれません。
このモチーフとなった家ですが、実際にある家ではなく但馬にあるいくつかの古民家のいいなと思ったところを組み合わせて制作したと云います。丹阿弥さんの作品はどれも驚くほどの精密さゆえに、まるで見たままを写し取ったかのように見えますが、そのことを伝えると「私の作品はどれも嘘なの、真っ赤な嘘なの。みんな騙されるの。」と丹阿弥さんは嬉しそうに笑って答えます。本物よりも本物らしく、不自然を感じなさせない組み合わせで構成してゆくという丹阿弥さん独自の世界がこの作品の中にも広がっています。

 ( 美術館 H.F )

この作品は企画展「時のきらめき 丹阿弥丹波子 銅版画展」 [会期:2015年4月5日(日)~2015年6月7日(日)]に展示されています。

<略歴 >

丹阿弥丹波子 (たんあみ・にわこ) [1927(昭和2)年生まれ]
1927年東京に生まれる。幼児期より日本画家である父(丹阿彌岩吉)の画室で日本画の画材に親しんで育つ。1942年文化学院女学部在学中より木炭デッサンを学ぶ。1954年油彩画で独立展に入選。1956年長谷川潔の作品との出会いがきっかけとなり、駒井哲郎に師事、銅版画を始める。1958年春陽展入選、以降連年出品し、研究賞、岡鹿之助賞を受賞。1971年資生堂ギャラリーで自主企画による個展を開催以降、氷上町立植野記念美術館(現・丹波市立植野記念美術館)、町田市立国際版画美術館など、各地で展覧会を多数開催。また、遠藤周作、芥川喜好などの本の装画も手がける。現在、春陽会会員、日本美術家連盟会員。

 

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