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今月の1点 Monthly Pickup 8月

《The Blink Stone》 首藤 圭介 / 金箱 淳一 ( しゅとう・けいすけ 1978~ / かねばこ・じゅんいち 1984~ )

2013(平成25)年 樹脂・センサ・太陽電池及び充電池 《作家蔵》

首藤圭介/金箱淳一《The Blink Stone》気が遠くなるような時間を経て形づくられる石。
石には、人類の歴史はおろか、恐竜の時代から私たち人間の歴史や記憶までが内包されているとするならば、私たちの一生は石の時間軸の中では、ほんの一瞬といえるでしょう。(− 作家の言葉より)

石の形を型どった本作《The Blink Stone》は、私たちの踏みしめる一歩によって瞬間的に光る作品です。

この作品が作られた背景には、2011年に日本を揺るがせた東日本大震災と、続いておこった福島の原発事故が関係しています。あの時、多くのアーティストたちが、「アートに一体何ができるのか?」という、これまでにない程の大きな壁を目の当たりにしました。その中でも、電気を用いて作品制作を行うことの多いメディア・アートと呼ばれる分野で活動していた金箱淳一氏にとっても、とても大きな衝撃だったと言います。

本作は、太陽光エネルギーで発電/ 充電をおこなう機能と、センシングによってLED を発光させる機能をモジュール化した基盤を、樹脂製の石それぞれに内蔵したことで、電気などのライフラインに依存せず、風や水のある場所など、従来であれば展開が難しい野外においても成立するメディアアートの新たな可能性を提示しています。

今回、茅ヶ崎市美術館の展示室では、近隣の学校や住人の家から借りてきた歴史が感じられる家具や道具を配置し、その間に伸びる白い石を敷き詰めた一本の道の上に展示しています。敷きつめられた石の上を歩くたびに足元で一つ一つの石が瞬きのような光を放ちます。この半永久に光り続けるであろうこの作品は、いまの私たちの立ち位置を示してくれるとともに、次の一歩を照らす光ともなってくれるかもしれません。


 (美術館 H.F)

この作品は夏の福袋「じぶんのいっぽ~ここから~」展 [会期:2014年7月20日(日)~8月31日(日)]に展示されています。

<略歴 >

金箱淳一(かねばこ・じゅんいち)・・・1984年長野県生まれ。岩手県立大学を卒業後、情報科学芸術大学院大学でギター玩具「Mountain Guitar」や振動を伝えるドラム「Vibracion Cajon」などの楽器とインタフェースに関する研究を行う。卒業後、玩具の企画開発会社を経て現在、女子美術大学 アート・デザイン表現学科メディア表現領域助手。2013 Asia Digital Art Award エンターテインメント部門大賞をはじめ、受賞多数。東京都在住。

首藤圭介(しゅとう・けいすけ)・・・1978年大分県生まれ。日常に目を凝らし、何気なく存在する微細な事象を拾い上げ、ほんの少し手を加え、磨き上げ、制作を行っている。名古屋造形大学美術学科Ⅰ類彫刻科卒業。同大学彫刻科助手、インテリアや店舗デザインなどの企画デザイン、女子美術大学助手を経て現在、女子美術大学非常勤講師。神奈川県在住。

 

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