• ホーム
  • 今月の1点
  • 《 岬 (エリセーラ)》 岩壁 冨士夫 ( いわかべ・ふじお 1925~2007 )

今月の1点 Monthly Pickup 11月

《 岬 (エリセーラ)》 岩壁 冨士夫 ( いわかべ・ふじお 1925~2007 )

1999(平成11)年 紙本着色/額装 縦89.5×横145.5 (cm) 《茅ヶ崎市美術館所蔵》

2014_11gatsu_400.jpgエリセーラ(エリセイラ)はポルトガルの首都・リスボンの北西およそ45km。大西洋に面した断崖の上にある漁師町です。この作品では海側からの眺望であるため描かれていませんが、旧市街の建物の正面や道に面した側には、白壁に青色の装飾が施されコントラストが鮮やかです。
この町はまた、ヨーロッパでも屈指のサーフポイントを有する、ポルトガルを代表するサーフィンの町であり、また、魚介料理が名物のリスボン近郊のリゾート地としても有名です。
歴史の舞台にもなりました。1910年10月に起きた共和制主義者による革命の結果、ポルトガル国王の座を追われた最後の王・マヌエル2世がイギリス領のジブラルタルへと船出したのは、この町の港からでした。また、およそ10km離れたマフラという街にあった王宮とエリセーラを結ぶ秘密の地下通路が存在するという伝説もあります。
岩絵具や胡粉などを用いて描かれた陽光に包まれた明媚な異国の風景。作者独自の絵肌(マチエール)と明快な色面構成が活かされています。


 (美術館 N.Y)



この作品は茅ヶ崎市美術館の収蔵作品ですが、現在、展示はされていません。

<略歴 >

1925(大正14)年12月4日、茅ヶ崎に生まれ、東京で育つ。1942(昭和17)年、東京美術学校(現・東京藝術大学)予科に入学。本科二年時より小林古径、安田靫彦らに師事。1947(昭和22)年、日本画科を卒業、51(同26)年まで教員の仕事をしながら制作を続ける。1955(昭和30)年頃、古径門下の小谷津任牛が主宰する飛鳥会で研鑽をつむ。1956(昭和31)年、再興日本美術院展覧会(院展)に初入選。1958(昭和33)年、飛鳥会が奥村土牛門下の研究会と合流したことから土牛の指導も受けるようになる。1969(昭和44)年、渡欧。以後ヨーロッパ、とりわけポルトガルの風景や人物を題材にした作品を多く手がける。1975(昭和50)年、院展にて日本美術院賞を受賞。1977(昭和52)年より82(同57)年まで連続して院展にて奨励賞を受賞。1979(昭和54)年、教員として最初の赴任地であった新島・若郷の妙蓮寺本堂天井画の制作を開始、91(平成2)年に完成。1983(昭和58)年、院展にて再び日本美術院賞を受賞し日本美術院同人に推挙される。1984(昭和59)年より89(平成元)年にかけて武蔵野美術大学日本画科講師を務める。1992(平成4)年、院展にて内閣総理大臣賞を受賞。2007(平成19)年4月19日、肝不全のため都内の病院で逝去。

 

<< 10月