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今月の1点 Monthly Pickup 11月

トライアングル 臼井恵之輔 ( うすい・けいのすけ 1937~ )

1980(昭和55)年 アクリル・キャンバス 縦181.8/横227.3(cm) 《個人蔵》

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 ちょっと不思議なこの絵。ぱっと見た瞬間この絵の天地が違うのでは?と思わせる構図です。それは翼を広げた鳥がくちばしを下向きにして描かれているからでしょう。飛んでいるはずの鳥がなぜ真下を向いているのか…。背景をよくみると、くちばしが2つ、下のほうには鋭い爪が描かれていて、別の鳥が2羽いるのに気づきます。しかもその鳥たちの目には極彩色の蛾が描き込まれています。どうやらこのなんとも不気味な鳥たちのテリトリーに迷い込み、捕らえられてしまったようです。

背景の鳥のおぼろげな輪郭を形どる無数の細かな点描は、実は一つ一つが三角形(トライアングル)になっており、作品タイトル《トライアングル》はここから付けられています。この三角形はデカルコマニーという技法で表現しています。通常、デカルコマニーというと紙に絵具を直接塗り、二つ折り、または別の紙を重ね合わせ、はがすといった方法で偶然性の高い表現が得られる転写技法を想像しますが、ここでは水で溶いた絵具に、三角形にカットした小さな紙切れを浸し、画面に貼り付けてははがすという方法を繰り返して描かれており、作者独自の手法といってもよいでしょう。

同タイトルの作品がこのほかに数点あり、これらをまとめて《トライアングル》シリーズとしていますが、描かれるモチーフはさまざまです。本作品のように鳥という明確で比較的具象画に近い作品のほかに、宇宙空間やミクロの世界を思わせる抽象画が描かれた作品もあり、見る人に自由な想像を掻き立てます。

この作品は12月8日から翌年の2月2日まで開催の企画展「臼井恵之輔展―未来形絵画を―」に展示されます。

( 美術館 S.T ) 

<略歴 >

現在の茅ヶ崎市下寺尾に生まれる。1960(昭和35)年、多摩美術大学美術学部を卒業後、教育の現場にたち、中学校美術の指導をする傍ら、中央の美術公募団体へ出品する。おもな受賞歴は、神奈川県美術展では第13回に美術奨学会賞(78年)、また第23回展(87年)と第31回展(95年)で特選を受賞。現在会員である新制作協会では、第37回展(73年)と第59回展(95年)に新作家賞を受賞。2008(平成20)年より茅ヶ崎美術家協会会長に就任。また個展、グループ展などで作品を発表している。

企画展「臼井恵之輔 ―未来形絵画を―」 会期:2013年12月8日(日)~2014年2月2日(日)

 

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